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| 山中健の「中国でアパレルを売りたい人へ9」 |
| 掲載日:2012/01/04 ※掲載日時点の情報となります。 |
ターゲットに合わせるのか、それともターゲットを創るのか
日本企業の上海進出が加速している。そして、成功事例も数々出てきている。しかし、その一方、失敗事例も生まれている。失敗事例とは言っても、現場レベルでは一生懸命やっている。立地も大きく外していないし、規模も取れて、中国ならでは、経済メリット供与型のイベントもやっている。しかし、致命的な戦略ミスがある場合が多い。それは「ターゲットがいない」のである。これは、特に「ヤングブランド」に多い。 日本カジュアルが中国で人気なのは事実である。しかし、現地の若者が上陸した日本ブランドをすぐに購入するかというと、多くの消費者は買えない。彼らの多くは、上海で言えば、七浦市場や地下街にある日本風市場商品、長楽路などのキャリー品の並行輸入店など、彼らの財布の中身に見合う方法で工夫して購入しているのである。つまり、「ターゲットと価格が合っていない」のである。その一方、成功し始めている日本ブランドには2つのパターンがある。一つは、徹底的なマーケットインで成功しているパターンである。長い期間、地を這うような努力をし、現地企画品の比率をあげ、上代をさげ、マーケットインした商品企画を行っている。もう一つは、日本において勝ち組とされているブランドが、日本以上にハイスペックな内装を構え、「ブランド」として価値を高めているパターンである。ファッショニスタ化しつつある中国人旅行客が、日本において行動する範囲においてインパクトのある店舗を構えたり、現地有力雑誌での露出を増やしたりして認知度を上げ、現地の店舗は日本以上の格を持つ店舗を構え、全身全霊で、付加価値をあげているのである。中国においてオープン景気というのはないと言われているが、これらのブランドはオープン時に大きな数字を叩いている。この手法は、ハイコストでハイリターンを取るという、欧米ラグジュアリーブランドが日本において行ってきた手法である。 この2つのパターンから、学べるのは「ターゲットに合わせるのか、それともターゲットを創るのか」が明確になっているということである。現状では、日本ブランドを日本での展開と同じようにして、購入する層は、少ない。この前提に立って、テストランを経て徹底的にマーケットインをするのか、それともターゲットを創るためにコストをかけるのか、戦略をしっかりと構築することが必要なのである。 出所「繊維ニュース(2011年9月5日)」 URL「www.sen-i-news.co.jp」 |
| 山中健の「中国でアパレルを売りたい人へ8」 |
| 掲載日:2011/11/14 ※掲載日時点の情報となります。 |
ジャパンブランドの立ち位置 日本のブランドは、「わかりにくい」「地味だ」と言われることが多い。それは、日本ブランドが育ってきた歴史がそうさせているのだと思う。今でこそ、日本はアジアにおけるファッション先進国となっているが、20年前に言われていたのは、「そろそろ日本スタンダードを創り上げるべき」ということであった。国内市場に占める欧米ファッションの影響が大きかったのである。もちろん、それよりも前に、コムデギャルソンやヨウジヤマモトなどのジャパンクリエーションはあった。それらは、欧米ラグジュアリーに反発するような関係で生まれたものであり、とても前衛的なものであった。 しかし、一般消費者が着用していた日本ブランドは、欧米ファッションとなじみやすく、補完関係を築けるようなものである。それが、現在の「リアルクローズ」である。そのため日本のベターグレードの商業施設には、インポートやライセンスブランドを補完するようにナショナルブランドや、ドメスティックブランドがゾーニングされている。一方、中国マーケットの主戦場である中高級百貨店のゾーニングは、欧米系とそれ以外(韓国、台湾、香港系、そして日本、中国ローカル系)に区分されている。日本ブランドのまわりにあるのは、同じアジア出身のブランドたちであり、一等地にある欧米系ブランドとは遠く離されている。隣にあるアジアのブランドは独特の色づかい、キャラ立ちした商品構成で展開している。日本ブランドは、「地味で」「目立たない」のである。ヤング対象の渋谷系、原宿系ファッションであれば、独特の世界観を持った「クールジャパン」的な手法ができるが、全ブランドがそのような手法を取り入れることはできない。 それらのブランドがこのような環境に対応するためには、2つの方法しかない。1つは、「アジア企画」商材を入れ込みキャラ立ちした編集にさせる方法である。ローカル生産でコストをさげ、ミッドマーケットでマーケットインさせることが必要であろう。その場合、気をつけたいのが「ジャパンブランド」としてのアイデンティ確立とローカル企画の両立である。ローカルブランドに埋没してしまっては、寿命を縮めることとなる。そしてもう1つの方法は、欧米ブランドの中国ライセンス権を取得し、日本ブランドとセット売り(抱き合わせ出店、もしくはセレクトショップ開発)することである。この手法をとれば、アジアの他ブランドと差別化でき、アッパーマーケットの良い立地へ攻め込むこともできるのではないだろうか。 出所「繊維ニュース(2011年4月4日)」 URL「www.sen-i-news.co.jp」 |
| 山中健の「中国でアパレルを売りたい人へ 7」 |
| 掲載日:2011/11/11 ※掲載日時点の情報となります。 |
今、求められているのは「デザイナーズブランド化」 このコラムで、アジアマーケットでは、日本のブランドは割高感があり、多くの日本ブランドが優位性を発揮できていないことを何度かお伝えしてきました。中間層マーケットでは、ユニクロやZARAにかけての価格帯がもっともボリュームを取れるところですので、その価格を実現できるのであれば、そこを狙うべきだと思います。しかし、日本のブランド多くは、その価格帯に参入するのは厳しく、参入できたとしても、過酷な競争が待ち受けています。 そのため、私は中高級マーケットにおいて、付加価値をあげていく方法を選定していくことをお勧めしています。ではどのような付加価値の方法があるのでしょうか。「日本ブランド」という付加価値で勝負するブランドも増えていますが、「日本ブランド」が好きなのは、お金のない若者なので、それだけだと安価な「日本風ブランド」に負けてしまいます。そのブランドの独自性や差別性を、商品、売場で最大限表現する「デザイナーブランド化」をしていくことが必要です。 日本の駅ビルグレードのブランドでも、中国や海外で勝負するとしたら、「高いブランド」になります。もう一度、アイデンティティを確立し直し、作り手の思い、ターゲット像、提案するファッションを再構築し、日本の店よりグレードの高いブランドとして表現した「デザイナーズブランド化」が必要です。 私が、海外に日本のブランドを紹介する時、「どんなブランドなの?」「デザイナーは?」などと聞かれることが多いのです。ただ、マーケットインしたブランドは、デザイナーの顔があまりうかがえないことが多く、説明に苦労します。もっと送り手の顔が見えるようなブランドづくりが必要です。 現在、中国の先進大都市では、マーケットインしたSPA、欧米のラグジュアリーブランドは、日本と変わらないぐらい存在しています。不足しているものをあげるとしたら、ヤング~ヤングアダルト向けのデザイナーズブランドです。香港やローカルのブランドが出始めていますが、まだ完成度は低い状況です。一方、現地業界人は「日本は、アジアで初めて世界で活躍するデザイナーを輩出した国」という認識をもっています。その強みを生かし、市場性と創造性のバランスづけをし、デザイナーブランド化という付加価値を創り上げることが求められているのです。 出所「繊維ニュース(2011年3月7日)」 URL「www.sen-i-news.co.jp」 |
| 山中健の「中国でアパレルを売りたい人へ 6」 |
| 掲載日:2011/11/10 ※掲載日時点の情報となります。 |
ビッグメゾンに見るローカライズ手法 先月、11秋冬ミラノ&パリメンズコレクションのショーを取材した。そこで、感じたのは、「アジア」、とりわけ「中国」への意識の強さである。11秋冬全体のトレンドは、「原点回帰」というものが色濃く見てとれ、特に民族の原点ともいえるレベルまで掘り下げた、どちらかというと土臭いものが多かった。しかし、一方で、中国で支持の高いビッグメゾンなどは、あえて「都会の生活」を打ち出していた。彼らは、成長の道筋をアジア、とりわけ中国に見出し、多くの中国の消費者の「服を買う意味」をよく理解し、提案したのではないか。中国の、特に男性が服を買うのは「より豊かになりたい」「よりステイタスをあげたい」という欲求であり、それらを叶えるものが服なのである。それらが叶わなければ、「服を買う意味はない」のである。これらの欲求に応じて「着るだけで都会人に見える服」を提案しているのが、それらのビッグメゾンである。特に、中国エリート男性から圧倒に支持されている「エルメネジルド・ゼニア」のショーは圧巻であった。中国20周年記念と銘打ち、テーマも「In the Mood for China」とし、万里の長城や上海の外灘を背景に、現代の中国男性のライフスタイルを世界に発信した。中国男性が好む3ボタンスーツ、ファー付きコートなどを、ゼニアならではの美しい素材と仕立てにより、ファッションとして提案した。また、アクセサリーでも、中国大都市の男性によく見られるベルトからぶら下げる携帯ケース、ウエストポーチなども、上質なレザーとデザインで紹介していた。ここで私たちが学びたいのは、現地の消費者の用途を知り、その用途に対応するアイテムを、世界標準のファッションとして提案している点である。日本の企業であれば、「そのようなアイテムは、格好悪い」「こっちのアイテムにしなさい」という提案をしがちであるが、それでは「マーケットを理解していない」といわれても仕方ない。現地の消費者に支持されているアイテムには、その市場特有の用途がある。そのため、「格好悪いアイテム」を「格好良いアイテム」に転換することが必要なのである。「ローカル独特の用途を、世界水準のファッションまで引き上げ、逆輸出する」ということが、欧米ブランドの得意とすることであり、これまで日本に対して、行ってきたことでもあるのだ。日本企業が、これらの事柄から学ぶべき点は多い。 出所「繊維ニュース(2011年2月7日)」 URL「www.sen-i-news.co.jp」 |
| 山中健の「中国でアパレルを売りたい人へ 5」 |
| 掲載日:2011/11/10 ※掲載日時点の情報となります。 |
日本からの上から目線は一切通用しない 日本企業の方々と中国でのマーケティングやMDの話をする時に、いつも気になるのが日本からの「上から目線」である。ほとんどの方は、「かつての欧米が日本を見下していたように、日本が中国を見下すなど、とんでもない驕りだ」という認識はされている。しかし、実際に、マーケティング戦略、商品企画、チャネル選定、商品投入を検討する段階になると、知らず知らずのうちに「上から目線」のプランとなっている。特に、商品企画では「時差誤認」「ローカライズ不足」から問題が生じることが多い。 「時差誤認」の問題とは、「日本で売れているものは、トレンドが遅れている中国でも、遅れて売れる」という発想で、商品企画を行うことである。ファッションのトレンドは、欧米と日本などから同時多発的に生まれ、世界各都市に流れているが、中国に影響を及ぼしているトレンドは、ヨーロッパ系の国際企業が発信しているトレンドであることが多い。欧米のトレンドは、欧米企業自身が世界同時進行で展開されており、「欧米と日本の時差」とそう変わらない。つまり、「市場の成熟」は日本の方が進んでいるが、「流行の伝播」という点では、「中国が日本より遅い」とは限らないし、日本以外から発信される流行も多数あり、そちらの影響力の方が大きい。確かに、原宿や渋谷のストリートトレンドが、中国で日本雑誌の現地版で紹介されたり、中国や香港、韓国の企業なども商品化したりするなどし、現地の若者に支持されてはいる。ただ、「日本ファッション好き」な層は確実にいるが、特定の層にとどまっているため、ビジネスを広げるためには顕在化している「日本ファッション好き」だけに絞るのは難しい。そのため、日本企業にとって課題となるのが、「日本好き」な層から伝播させ、売上拡大するための、「ローカライズ」である。例えば、日本でも市場に浸透している欧米系ブランドは、日本の市場を研究し、日本の消費者の特性にそった商品を提供してきた。つまり欧米企業は「上から目線」に見えて日本市場をしっかりと捉えてきた。日本企業にはそのような視点が不足している。そのために「日本好き」の外側にあるボリュームは、現地や第三国のブランドに奪取されているのである。今の日本ブランドに求められているのは、「日本ブランドとしてのアイデンティティ」は大事にしながらも、「ローカライズ」をしっかりと行うことであろう。 山中健 出所「繊維ニュース(2011年1月11日)」 URL「www.sen-i-news.co.jp」 |


