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アジアのブロガー(1)〜急激に存在感を増す理由〜
掲載日:2012/01/06
※掲載日時点の情報となります。

日本でも特に最近、メディアによる報道の自由度を疑問視する声がよく聞かれるが、東南アジアではそもそも報道機関の大株主が政府与党であったりするケースが多い。

ローカルテレビ局や英字紙大手「The Straights Times」を傘下に持つシンガポールのメディアコープ、マレーシアの英字紙「Star」、「New Straights Times」、マレー語紙「Utusan Melayu」はその例として有名だ。

一般的にバイアスのかかったメディアの信用度は低いが、比較対象がなければ、それでも情報の拠り所にせざるを得ない。新規参入の壁は高い上、ときとして強硬派には厳しい処分が科される。

かつてのマハティール政権に批判的だった独立系のメディア「マレーシアキニ(Malaysiakini.com)」は家宅捜索でパソコンやサーバーを押収されたこともある。また、2009年で廃刊となった経済誌「Far Eastern Economic Review」はその3年前にシンガポールで発禁処分を受けた。

こうしたメディア事情に加え、特にシンガポールとマレーシアは複合民族国家ということもあり、自前のスターが育ちづらい環境にある。

マレーシアで歌姫として名を馳せたシティ・ヌルハリザは、政府から「Dato」の称号を受けるなど、マレー系国民のアイドル的存在だったが、中国系の人たちの間に熱狂的なファンは多くなかった。同様に中国系の有名人が全国区になるのも難しい。

ほぼ自然発生的にマレーシアの華人は香港や台湾、シンガポールではそれに加えて欧米スターに熱い視線が送られる。ドラマやテレビ番組も衛星放送を通じて輸入される。所得の伸びに応じ、有料放送を試聴する国民が増える。結果として、自国をベースにしたメディアの発信力は総体的に弱くなってしまう。

ここに風穴を空ける存在として注目を浴びているのがブロガーだ。シンガポール、マレーシアを中心に東南アジアでは8万人以上がブログを通じて収入を得ているほか、2011年のアジア太平洋ブロガー大賞を受賞した Xiaxue(http://xiaxue.blogspot.com/)などは、プロのブロガーとして生計を立てている。

次回以降、勢いのあるブロガーやその現象にスポットを当ててみたい。

山中健の「中国でアパレルを売りたい人へ9」
掲載日:2012/01/04
※掲載日時点の情報となります。

ターゲットに合わせるのか、それともターゲットを創るのか

 

日本企業の上海進出が加速している。そして、成功事例も数々出てきている。しかし、その一方、失敗事例も生まれている。失敗事例とは言っても、現場レベルでは一生懸命やっている。立地も大きく外していないし、規模も取れて、中国ならでは、経済メリット供与型のイベントもやっている。しかし、致命的な戦略ミスがある場合が多い。それは「ターゲットがいない」のである。これは、特に「ヤングブランド」に多い。

日本カジュアルが中国で人気なのは事実である。しかし、現地の若者が上陸した日本ブランドをすぐに購入するかというと、多くの消費者は買えない。彼らの多くは、上海で言えば、七浦市場や地下街にある日本風市場商品、長楽路などのキャリー品の並行輸入店など、彼らの財布の中身に見合う方法で工夫して購入しているのである。つまり、「ターゲットと価格が合っていない」のである。その一方、成功し始めている日本ブランドには2つのパターンがある。一つは、徹底的なマーケットインで成功しているパターンである。長い期間、地を這うような努力をし、現地企画品の比率をあげ、上代をさげ、マーケットインした商品企画を行っている。もう一つは、日本において勝ち組とされているブランドが、日本以上にハイスペックな内装を構え、「ブランド」として価値を高めているパターンである。ファッショニスタ化しつつある中国人旅行客が、日本において行動する範囲においてインパクトのある店舗を構えたり、現地有力雑誌での露出を増やしたりして認知度を上げ、現地の店舗は日本以上の格を持つ店舗を構え、全身全霊で、付加価値をあげているのである。中国においてオープン景気というのはないと言われているが、これらのブランドはオープン時に大きな数字を叩いている。この手法は、ハイコストでハイリターンを取るという、欧米ラグジュアリーブランドが日本において行ってきた手法である。

この2つのパターンから、学べるのは「ターゲットに合わせるのか、それともターゲットを創るのか」が明確になっているということである。現状では、日本ブランドを日本での展開と同じようにして、購入する層は、少ない。この前提に立って、テストランを経て徹底的にマーケットインをするのか、それともターゲットを創るためにコストをかけるのか、戦略をしっかりと構築することが必要なのである。

出所「繊維ニュース(2011年9月5日)」 URL「www.sen-i-news.co.jp

見積もり取得の情報戦 〜あざむいて、あざむかれる〜
掲載日:2012/01/03
※掲載日時点の情報となります。

前回の続き。なぜ、見積もりを依頼するときにプロジェクト内容を実際より大げさにみせ、本来は不必要なものまで対象に含ませるのか?

それは、相手がどこで利益を出そうとしているのかを見極めるため。

見積もりの項目1つ1つに対し、あなたが優れたデータベースを持っており、適正価格かどうかを判断できるのなら、もちろんこうした小細工は必要ない。

お金に関わる交渉は、現地スタッフに任せれば良いではないかとの声も聞こえてきそうだが、そうもいかない。金額をつり上げるパターンは主に2つあって、1つは「(値段を)まけろ」と言われれば下げる類いのもの。

もう1つは上乗せのメカニズムを功名に仕組んでくるもので、この解明にはプロのスキルが必要になる。言わずもがな、声を張り上げただけで得をする金額は知れている。

威勢の良い現地スタッフほど、「あそこは高すぎる」「ほかならもっと安い」などと心強いことを言ってくれるが、最終的に値段は落ちるがクオリティも大幅に下がるのが関の山で、残念ながらこれでは交渉とは言い難い。

従って、小細工なりとて懐に忍ばせて有事に備えておくべきかと。

そこで、再び本題に。

プロジェクト内容を大きく見せれば、当然のことながら見積もりの項目が増える。相手にしてみれば、金額の上乗せをするチャンスが増える。少し余裕が生まれる。油断とすきの入り込む余地ができる。

こうして提出された数社の見積もりを比べれば、それぞれの業者がどこで儲けようとしているのかがなんとなく見えてくる。特定の項目なのか、人件費の上乗せなのか。パーツのコストを上げてくるのか、スーパーバイザー費用が高いのか、不必要な設備を加えてくるのか等々、目を凝らして相手の意図を探る。

その上で、「A社と比較して御社のここが高い」などと削減要求をし、同意を得られたところで、最終的にプロジェクトの規模が本社の決定事項としてスリム化されたことを伝える。ここでは、本社の意向とすることが重要。

担当者1人だけ手玉に取ればなんとかなると思わせないことと、値段交渉などのタフな内容は本社に言わされているのだという口実ができるからだ。万事うまくいけば、見積額は最初と比べて随分と筋肉質に見えるようになる。

最後にプロジェクト誇示のかくれた副産物を1つ。

見積もりの項目が増えれば、1項目当たりの上乗せ額は減る傾向にある。そこで誇大表示をもとに戻すと、最終見積もりが適正に近くなる可能性も高い。さらにぜい肉分の見積もりも、貴重な資料として保管できる。

肉を切らせて骨を断つのは達人の技。せめて、肉は切られても最小限に・・・。

山中健の「中国でアパレルを売りたい人へ8」
掲載日:2011/11/14
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ジャパンブランドの立ち位置

 日本のブランドは、「わかりにくい」「地味だ」と言われることが多い。それは、日本ブランドが育ってきた歴史がそうさせているのだと思う。今でこそ、日本はアジアにおけるファッション先進国となっているが、20年前に言われていたのは、「そろそろ日本スタンダードを創り上げるべき」ということであった。国内市場に占める欧米ファッションの影響が大きかったのである。もちろん、それよりも前に、コムデギャルソンやヨウジヤマモトなどのジャパンクリエーションはあった。それらは、欧米ラグジュアリーに反発するような関係で生まれたものであり、とても前衛的なものであった。

しかし、一般消費者が着用していた日本ブランドは、欧米ファッションとなじみやすく、補完関係を築けるようなものである。それが、現在の「リアルクローズ」である。そのため日本のベターグレードの商業施設には、インポートやライセンスブランドを補完するようにナショナルブランドや、ドメスティックブランドがゾーニングされている。一方、中国マーケットの主戦場である中高級百貨店のゾーニングは、欧米系とそれ以外(韓国、台湾、香港系、そして日本、中国ローカル系)に区分されている。日本ブランドのまわりにあるのは、同じアジア出身のブランドたちであり、一等地にある欧米系ブランドとは遠く離されている。隣にあるアジアのブランドは独特の色づかい、キャラ立ちした商品構成で展開している。日本ブランドは、「地味で」「目立たない」のである。ヤング対象の渋谷系、原宿系ファッションであれば、独特の世界観を持った「クールジャパン」的な手法ができるが、全ブランドがそのような手法を取り入れることはできない。

それらのブランドがこのような環境に対応するためには、2つの方法しかない。1つは、「アジア企画」商材を入れ込みキャラ立ちした編集にさせる方法である。ローカル生産でコストをさげ、ミッドマーケットでマーケットインさせることが必要であろう。その場合、気をつけたいのが「ジャパンブランド」としてのアイデンティ確立とローカル企画の両立である。ローカルブランドに埋没してしまっては、寿命を縮めることとなる。そしてもう1つの方法は、欧米ブランドの中国ライセンス権を取得し、日本ブランドとセット売り(抱き合わせ出店、もしくはセレクトショップ開発)することである。この手法をとれば、アジアの他ブランドと差別化でき、アッパーマーケットの良い立地へ攻め込むこともできるのではないだろうか。

出所「繊維ニュース(2011年4月4日)」 URL「www.sen-i-news.co.jp

山中健の「中国でアパレルを売りたい人へ 7」
掲載日:2011/11/11
※掲載日時点の情報となります。

今、求められているのは「デザイナーズブランド化」

このコラムで、アジアマーケットでは、日本のブランドは割高感があり、多くの日本ブランドが優位性を発揮できていないことを何度かお伝えしてきました。中間層マーケットでは、ユニクロやZARAにかけての価格帯がもっともボリュームを取れるところですので、その価格を実現できるのであれば、そこを狙うべきだと思います。しかし、日本のブランド多くは、その価格帯に参入するのは厳しく、参入できたとしても、過酷な競争が待ち受けています。

そのため、私は中高級マーケットにおいて、付加価値をあげていく方法を選定していくことをお勧めしています。ではどのような付加価値の方法があるのでしょうか。「日本ブランド」という付加価値で勝負するブランドも増えていますが、「日本ブランド」が好きなのは、お金のない若者なので、それだけだと安価な「日本風ブランド」に負けてしまいます。そのブランドの独自性や差別性を、商品、売場で最大限表現する「デザイナーブランド化」をしていくことが必要です。

日本の駅ビルグレードのブランドでも、中国や海外で勝負するとしたら、「高いブランド」になります。もう一度、アイデンティティを確立し直し、作り手の思い、ターゲット像、提案するファッションを再構築し、日本の店よりグレードの高いブランドとして表現した「デザイナーズブランド化」が必要です。

私が、海外に日本のブランドを紹介する時、「どんなブランドなの?」「デザイナーは?」などと聞かれることが多いのです。ただ、マーケットインしたブランドは、デザイナーの顔があまりうかがえないことが多く、説明に苦労します。もっと送り手の顔が見えるようなブランドづくりが必要です。

現在、中国の先進大都市では、マーケットインしたSPA、欧米のラグジュアリーブランドは、日本と変わらないぐらい存在しています。不足しているものをあげるとしたら、ヤング~ヤングアダルト向けのデザイナーズブランドです。香港やローカルのブランドが出始めていますが、まだ完成度は低い状況です。一方、現地業界人は「日本は、アジアで初めて世界で活躍するデザイナーを輩出した国」という認識をもっています。その強みを生かし、市場性と創造性のバランスづけをし、デザイナーブランド化という付加価値を創り上げることが求められているのです。

 出所「繊維ニュース(2011年3月7日)」 URL「www.sen-i-news.co.jp